法律問答集
 一 般
〔連帯保証人の保証意思について〕
1、 皆さん方は「連帯保証」という言葉はすでに御承知のことで、またお仕事の関係上実際に経験された方もあると思います。
 今回は組合に特有な問題ではありませんがこの連帯保証に関してそのうちで特に「連帯保証人の保証意思」という点について考えてみたいと思います。
 というのは私が実際に裁判上でしばし体験するものですから中央会のお許しを得て出題してみようという気になったのです。
 連帯保証というのは御承知のとおり債務者に対して主たる債務者と同様な責任を負うという約束です。
 連帯保証契約という純然たる契約ですが、では誰と誰との間の契約でしょうか。
 それは、債権者と連帯保証人との間の契約です。連帯保証人になるには通常大部分は債務者に、「頼む」とか言われてなることが多いと思いますが、債務者は連帯保証契約の当事者ではありません。
 従って、連帯保証人が後に債務者から請求を受けたような場合に「自分は債権者から頼まれてなったのだとか、債務者は絶対に迷惑を掛けないと言ったからなったのだ」と主張しても全く無意味なことで抗弁として成り立ちません。
主張自体失当なのです。
 実際の裁判で連帯保証人になったある人がこのように主張したことがありましたが、これに対して裁判官は「将来もしかしたら迷惑を掛けるかもしれないから連帯保証人になってくれと言って頼む人がありますか」と言って一蹴されました。
2、 次に、連帯保証も契約ですから債権者と連帯保証人との間で意思の合致がなければなりません。
 連帯保証人の側から言えば連帯保証をするという意思行為の表示(発現)がなければなりません。
これは通常では契約書の連帯保証人欄の個所に署名捺印することによってなされます。
 従って、自署のうえ自ら押捺するのが原則でありそれが普通でしょう。
 しかし、他人に代書して貰っても勿論有効ですが、この代書は十分気をつけなければいけませんし意外な落とし穴となります。
 というのは、代書の場合は連帯保証の当人と実際に署名する人が別人なのですから、成立のための最小限の要件としてその当人の連帯多証となる意思や浸透していなければなりません。
 では、この浸透はどのように具体化されるのでしょうか。債権者はそれをどのように把握しておくべきでしょうか。
 それは、債権者が実際に署名されている人に連帯保証の意思を確認する以外に方法はありません。
 この両者を目の前において相互に確認するのが一番確実な方法ですが、少なくとも最少限電話等でその人に確かめることは絶対に必要です。
 でないと、後になって連帯保証したことを否認されると証拠がなく全くお手上げになってしまいます。
3、 前述に関連して世間の人はよく次のように言ってきます。
 実印が押してあり印鑑証明書も添付されているのではないか。
 しかし、これらは一応の推定はなされますが確たるものではありません。印鑑証明書を手に入れる方策はいくらでもあります。
 連帯保証人と主たる債務者とは夫婦、親子ないし兄弟等の肉親であって、身内のために一肌ぬぐのは当たり前ではないか。しかし、実はこのような肉親間であるのが一番危険なのです。というのは後で口裏を合わされたら何分にも家庭内のことですからそれをあばきだそうにも証明することが非常に困難です。
(昭和63年8月 33号掲載)
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